探偵という仕事の危険
探偵という仕事は、実はちょっとした危険が隣り合わせです。
但し、それはドラマや映画のスリリングなシーンのようなものとは少々違います。もっと現実的なことです。
盗撮容疑
探偵は仕事上、尾行・張り込み・聞き込み・撮影などを行います。
これらの探偵の仕事を経験したことがない方にとっては、あまりピンとこないかもしれませんが、実はどれも一歩間違えば、警察のやっかいになってしまうものばかりなのです。
もっとも簡単な例をあげてみると、「撮影」が「盗撮」と誤解されてしまうことが挙げられます。
「盗撮」は「隠し撮り」とも言われますが、法的な盗撮の対象となる行為は人の性的な部位やスカートなど衣服の中を隠し撮りしたり、風呂場やトイレなどの中の撮影、つまり性的な目的で行われた場合に処罰されます。
つまり、基本的に探偵の撮影はバレないように撮るため隠し撮りには違いありませんが、あくまで対象者の行動の撮影であり、厳密な盗撮には該当してはいません(場合によっては撮影がプライバシー・肖像権侵害にあたる可能性はなくはないです)。
しかし、隠し撮りしていることが対象者本人や周りの人にバレてしまうと、「盗撮」だとして警察に通報されてしまうこともあります。
誰だって盗撮容疑で警察に連れて行かれたくはありませんので、極めて慎重に撮影を行う探偵も多いです。
ストーカー容疑・住居不法侵入
また、他によくある危険パターンとしては、「ストーカー容疑」と「住居不法侵入」があります。
探偵は探偵業法により、仕事上で尾行・張り込みを行うことは認められています。
だからといって堂々と尾行・張り込みをしていいわけではなく、対象者に恐怖や不安を与えてしまうことまでは許されてはいません。
尾行がばれてしまい、不安や恐怖を覚えた対象者からしてみれば、実際は探偵だろうが「ストーカー」に思えてしまうことでしょう。
法的に探偵の仕事がストーカー規制法違反に該当することは原則としてありませんが、調査が失敗した上に警察に通報される憂き目をみることになります。
また、探偵の仕事では張り込みをする機会が非常に多いのですが、ドラマや小説などでは、マンションの階段などから対象者宅を監視するシーンが登場することがありますよね。
しかし、それを現実にやると、マンションの居住者や管理人に不審人物と認識されてしまう確率がかなりあります。その状況で警察に通報されると、住居不法侵入の現行犯で警察に連れて行かれてしまいます。
どこでも張り込みをしてよいわけではなく、また、長時間の張り込みでは不審人物と思われないように気を使わなければなりません。
ドラマや小説のように意外と簡単にはいかないのです。
探偵には「危機察知能力」が必要
このように、決して笑い事ではなく、探偵には警察のやっかいになってしまう危険が多いです。
不運もしくは実力不足により、そういったことで警察のお世話になる機会が多い探偵は、業界から去っていく運命にあると言えるかもしれません。
それは探偵業界にとっても依頼される一般社会人にとっても有意義なことかもしれませんが、どのような探偵事務所経営者の下で働くかなど、運が悪かった探偵は気の毒でもあります。
調査員として働く探偵にもこの業界でうまく生き抜いていく力が必要なのです。
探偵個々に必要な能力として「危険察知能力」が必要と言えるでしょう。もし、危険察知があまく周囲からの視線に気が付くことなく張り込みを継続しては「どのような調査も成り立たない状況に陥る」こととなってしまうのです。
探偵個々の長所や短所にも関わるお話しになってしまいましたが、探偵が日々直面する現実は決して甘くないと言えるのです。
覚悟を必要とする職業とも言えるのではないのでしょうか。
こういった覚悟を持っていなかった場合は、大きな失望を経験することになるかもしれません。
どうせならドラマや映画のようにもっとカッコよく仕事してみたいものですけどね。